女性の体内で妊娠が成立するためには、まず卵巣で卵子が作られて卵管に運ばれ、精子と受精して子宮に移動して、子宮内に着床するという過程が必要であり、そのどれか一つが上手くいかなくても妊娠することはできません。それぞれの過程はとてもデリケートなものですので、どこに異常があったとしても焦らずに治療を行うことが必要です。
排卵が上手くいかない場合には、卵巣に問題があると考えられます。卵巣は卵子を作るだけではなく、排卵を促すホルモンの分泌も行うところです。正常な卵子を作り、ホルモンをスムーズに分泌することで毎月規則正しく排卵が行われると良いのですが卵巣にトラブルがあると卵子が作られなかったり、作られても排卵されなかったりして妊娠には至りません。この排卵障害は不妊の中でもかなり多く、ストレスなどによるホルモンバランスの異常でも排卵が滞ったりすることもあるのです。また、卵巣は特に加齢によって機能が衰えると言われているので、高齢による不妊の場合には卵巣機能が懸念されるところです。このような排卵障害があるという場合には、一般的にホルモン療法などが行われます。
不妊の中でも最も多いと言われているのが、卵管障害です。卵巣と子宮をつなぐ卵管は、左右に一つずつあって、そこで受精が行われます。しかし、この卵管は非常に細く、正常な人でも細いところは1mm程度しかないため、炎症などを起こすと簡単に詰まってしまうのです。しかも、卵管が詰まっていても特に自覚症状がない場合も多いため不妊に悩んで病院で検査を受けたら実は卵管障害だったということも少なくありません。卵管障害は、膣内の細菌が移動したり感染症が炎症を引き起こしていたり、子宮内膜症が原因となっている場合もありますが、いずれにしても卵管の詰まりや癒着を解消することが必要です。卵管の詰まりや癒着が解消できない場合には、体外受精などを行う必要があります。
着床障害のばあいには、子宮のトラブルが考えられます。卵管で受精した受精卵が子宮まで移動してきたときに、子宮内膜が十分に準備されて状態になっていないと着床することはできません。また、子宮筋腫や子宮奇形などを持つ場合には受精卵が着床しにくい場合もあります。こういった場合にはホルモン治療で子宮内膜の発育を促したり、手術などで子宮のトラブルを取り除いたほうが妊娠しやすくなるでしょう。
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