不妊治療の方法
不妊治療にはさまざまな方法があり、その人に合わせて段階を踏んで進めていくのが一般的です。一口に不妊症と言いますが、実際のところ不妊は病気というわけではなく、子どもができにくいという状態を指す言葉です。もちろん何らかの病気がもとで不妊になっていることもあるのですが、性交渉を行うタイミングが合っていないなどの理由で妊娠に至っていないだけという場合も少なくありません。そのため、不妊治療を行うためにはまず男女両方について検査を行い、不妊の原因となる病気や異常がないかを調べたうえで、方針を決定します。異常が見つかった場合にはその異常を取り除くように働きかけたうえで、基礎体温などによって女性の体のサイクルをきちんと把握して妊娠しやすいタイミングなどが指導されます。これがタイミング法であり、不妊治療の中でも最も初歩の治療となるところです。検査のための薬や器具は使用しますが、基本的には妊娠のために薬などを使うわけではないので、かなり自然妊娠に近い方法だと言えます。それでも妊娠の兆候が表れない場合や、子宮頸管の分泌物に問題がある場合、さらに精子の量が少なかったり運動率が悪かったりする場合には、人工授精を行います。人工授精は精子を直接子宮に送り込む方法で、これによって妊娠率は2倍になると言われています。といっても、不妊の状態からの2倍ですが成功率は決して高いわけではなく、費用が比較的安いこともあって何度も繰り返すことが多いようです。さらに、体内での受精が難しいと判断されたら、卵子を取り出して人工的に授精をさせてから子宮に戻すという体外受精が行われます。ただし、体外受精は高度生殖医療と呼ばれる保険の効かない治療になりますので、一回につきかなりの費用がかかることになり、経済的な理由であきらめる人も少なくありません。また、子宮摘出などを行って、自分で出産することを望めない場合には海外での代理出産を選択する人もいますが、お金を払って子どもを産んでもらうということを問題視する人も多く、日本でも多くの議論を巻き起こしています。 |