代理出産
代理出産は、文字通り出産を別の女性に行ってもらう方法で、基本的には日本では行われておらず、議論になることも多い難しい問題です。子宮に大きな問題がある場合や何らかの原因で子宮摘出を余儀なくされた女性は、不妊治療を行っても出産が不可能であり、代理出産はそれでも自分の子どもが欲しいという場合の最後の手段です。代理出産にもいくつかの種類があり、以前は代理母となる女性の卵子に人工授精で受精させて出産してもらって自分の子どもとしていたのですが、最近は卵巣から摘出した自分の卵子と夫の精子で受精卵を作って代理母の子宮に着床させ、出産してもらうことによって遺伝上は完全に自分の子どもを持つことも可能になりました。もちろん現在でも卵子の採取が不可能な場合などは、代理母や他の女性の卵子を受精させることもあります。しかし、現在の日本の法律では分娩した女性をその子供の母とみなすという考え方や、妊娠・出産というリスクの高いことを他人にやらせることについての同義的な観点から、代理出産自体が法律違反というわけではありませんが、厚生労働省や日本産婦人科学会の見解としては認められていません。それでも事実上自分の遺伝子を受け継ぐ子どもを持つためにはそれしか手段を持たない人たちが、海外での代理出産を行うこともあります。2003年には、タレントの向井亜紀・高田延彦夫妻が海外で代理出産を行った子どもが日本で実子としての出世届を受理されなかったことから訴訟を起こして話題になりました。ガンによる治療で子宮摘出を行い、それでも自分の子どもが欲しいとして代理出産を行った夫妻による問題提起として、代理出産の是非について日本で大きな議論を巻き起こしたのです。実際のところ、代理出産は世界中で行われているのですが、金銭の授受が発生する代理出産については批判も多く、アメリカでも金銭の受け渡しが発生する代理出産は州によっては禁止されています。実際、母親が子どもを産めない娘のために代理で出産を行ったり、親友のために無償で出産するといったケースは認められているところがほとんどです。営利目的で行う代理出産が認められている国もありますが、実際に日本から斡旋業者などを介して代理出産を依頼して実行した場合、数千万円の費用が必要だと言われており、そういった高額な費用についても問題視されることが少なくありません。 |