不妊治療マニュアル

人工授精

人工授精とは、精子を人工的に子宮に注入して受精を促すという不妊治療です。精子の注入を性交渉で直接行うか、事前に採取しておいて人工的に行うかの違いであって、受精や着床を人工的に行うわけではありません。一度取り出して受精させた受精卵を子宮に戻す体外受精と混同しがちなので注意しましょう。人工授精の場合は受精や着床に関しては自然妊娠と同じように行われるため、不妊治療の中では比較的簡単なものになります。

この人工授精は誰にでも効果があるものではなく、女性の卵管に詰まりや癒着が認められず、子宮の形状や発達に置いて着床が可能だと判断された場合に行われます。子宮や卵管に問題がなくても、頸管粘液が精子を弱らせてしまうような成分を持っていたり、精子の数が少なかったり運動率が悪かったりする場合には人工授精が有効です。人工授精では、採取した精液を特殊な溶液で洗浄し、精子の中でも運動率が良いものだけを選別して子宮に注入するため、元気な精子が直接子宮に届くことになり、卵管に到達する確率が高まるのです。実際には人工授精で妊娠が成立する確率は、自然妊娠の2倍といいますから、やはりそれなりの効果はあるようです。ただし、人工授精は排卵日にしか行えないため月に1回が限界で、何度も繰り返すとなるとかなりの期間が必要になります。データでは、人工授精で妊娠した人のうち80%は5〜7回の人工授精で成功しているので、それ以上行っても妊娠しない場合には次のステップに進むことを検討しましょう。人工授精は、男性は精子を自宅かもしくは病院で精子を採取するだけですし、女性は細い管で精液を注入するだけです。どちらも体への負担は大変少なく、一回の費用も2万円前後と不妊治療としては比較的安くできるので、比較的気軽にできる不妊治療として継続して行う人が少なくありません。ただし、卵管が詰まっていたり、排卵が上手くいっていないという人や、子宮筋腫などがあって着床が難しいという人には効果が期待できないので、別の方法を考えるようにしましょう。

 

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