体外受精は、体から取り出した卵子を採取しておいた精子で受精させてから子宮に戻すという方法です。卵巣から直接卵子を取り出すため、卵管が詰まっていたり癒着していて排卵が正常に行われていなかったりする場合などにとても有効な方法です。また、精子の数が少なかったり運動率が悪い場合でも、確実に受精させることができます。
体外受精の流れは、まず卵子を採取する準備から始まります。体外受精の場合、一度に3個までの受精卵を子宮に戻すことで妊娠の確率を上げることが多く、そのためにはさらに多くの卵子を採取しておくことが必要になります。しかし、本来の排卵は毎月どちらかの卵巣から一つずつ行われるだけですので、何個もの卵子を採取するために排卵を誘発する薬を毎日点鼻したり注射したりして卵子がたくさん作られるように働きかけます。さらに、せっかく作られた卵子が勝手に排卵されないように、排卵抑制剤も併用して卵巣に多くの卵子が出来ている状態を作り出します。卵子の準備ができたら、膣から針のついた器具を挿入して卵子を採取しますが、麻酔をかけて行うことも多く、眠っている間に10分程度で終了します。それと同時に男性に自分で射精してもらって精液を採取し、培養液の中の卵子に振りかけることによって受精卵を作ります。受精卵はすぐに子宮に戻すのではなく、2日ほど培養を行って順調に4分割卵から8分割が行われた受精卵を選んで子宮に戻し、着床を待つのが一般的です。この時に子宮に戻す受精卵は3個までと決められており、すべての受精卵が着床して成長すると、3つ子になるのです。場合によっては体外で1週間程度培養してから子宮に受精卵を戻す場合もあります。
こうした体外受精は、高度生殖医療と呼ばれ、健康保険の適用外になるためかなり高額な費用が発生します。1度の体外受精に必要な費用は約40万円前後と呼ばれており、何度も行うとかなりの金額になるため経済的な負担が厳しくて断念する人も少なくありません。体外受精の成功率は40%前後と言われていて、だいたい4〜5回目の体外受精までには80%の人が妊娠に成功しています。しかし、逆に言えば5回の体外受精で200万円近い費用をかけても妊娠に至らない場合が5人に1人はあるということ。しかも年齢が高くになるにつれて成功率も低くなっていくため、利用者には悩ましいところです。本当に体外受精をするべきか、いくつかの病院で相談してから決めたほうがいいかもしれません。
|