不妊治療の問題点
不妊治療の問題点としてまずあげられるのが、治療を行う人の負担の大きさです。たとえば経済的な負担。保険が適用されるタイミング法などであれば毎月数千円で済みますが、高度生殖医療と呼ばれる体外受精は前後の費用も含めると1回につき50万円前後の負担が必要です。比較的安いと言われる人工授精を行うにしても、毎月数万円の出費は若い夫婦にとっては決して安いものではありません。しかも、女性の場合は体のタイミングを図りながら毎月何回も通院する必要があり、仕事との両立も難しいのが現状です。妊娠すれば産休はありますが、不妊治療のための休暇はありませんので、有給休暇や半休を使いながら通院したり、場合によってはそのために退職したりする女性も少なくないのです。仕事を続けていても、周囲には不妊治療とはいいにくいので遠慮しながら休みを取ることが多くなりますし、思い切って退職しても病院に行く以外の時間を一人で過ごすことによって、不妊について考え込んでしまい精神的に追い込まれてしまいがちです。しかも、治療の中には痛みを伴うものや、デリケートな話をする必要があることも多く、それ自体もストレスになることがあります。女性にとっては不妊治療を行っている間は生活の面でも精神的な面でも肉体的な面でも、非常に負担が大きくなってしまうのです。女性の社会進出が進むことは素晴らしいことですが、それによって晩婚化が進み、年齢が高くなってから子どもを望んだ結果不妊に悩むケースも多く、中には「こんなことならもっと早く産んでおくんだった」という人も多くいます。一方、若い女性は徐々に妊娠しにくい体になってしまうということを知らないことも多いため、もっとその点については啓蒙していく必要があるのかもしれません。少子化が深刻になっている現在、不妊治療はもはや社会的な問題です。不妊に悩む夫婦が全体の10%いるということは、不妊が解消されたらかなりの数の子ども増えることになります。少子化の改善のためにも、もっと不妊の解消についての研究を進めたり、不妊治療を行う女性が過ごしやすい環境づくりに力を入れるなどの施策も必要なのではないでしょうか。 |