女性の膣内に射精された精子が、女性の卵子と出会って受精に成功すれば妊娠は成立します。簡単にいえば、妊娠のしくみとはそれだけのことなのですが、妊娠するためには体質や体調、タイミングなどさまざまな要素が重なって、受精に成功することが必要であり、決して簡単なものではないのです。
まず、女性の体が妊娠するのは1ヵ月のうちでもほんの数日。女性の体は毎月受精に備えて準備を行い、受精が成立しないと赤ちゃんのベッドになるはずの子宮の内壁がはがれおちて出血し、月経がおこります。そして再び受精に向けた準備が始まるのです。やがて準備ができると、卵巣から卵子がひとつ排出されます。一方、子宮の入り口では精子を迎え入れやすくするために透明なおりものが多く分泌されるようになります。このタイミングで性交渉を行い、精子が子宮の奥の卵管にたどり着いて卵子との受精が成立すると、受精卵となって子宮内膜まで移動して着床します。そうして受精卵の成長が始まるのです。女性の体の準備が整って排卵が起こる前後の数日のみが妊娠が可能な期間であり、妊娠の確率を高めるためにはその時期をしっかり把握することが必要です。排卵日は前回の月経から何日後と決まっているわけではないですし、個人差もあるので一概にはいえませんが、基礎体温を付けることによってかなり正確に把握することができます。女性の体は排卵や月経の周期に合わせて微妙に体温が上下しており、月経とともに始まる低体温期と排卵日以降の高体温期に分けられます。低体温期から高体温期に移行するときに、がくんと体温が下がる日があって、そこが排卵日である確率が高いのです。こうしてタイミングを図って性交渉を行うことによって、妊娠の確率は高まりますが、たとえ排卵日に性交渉をもったとしても、確実に妊娠するわけではありません。しかも、受精が成立して着床にこぎつけても、妊娠7〜10週での心拍確認ができずに流産になる確率も10%程あると言われています。その後も数々のリスクを乗り越えて赤ちゃんは成長していくのです。まずは、基礎体温を測る習慣をつけて自分の排卵のサイクルを把握することから始めるとよいでしょう。基礎体温の異常は、妊娠だけではなく婦人科系の病気の早期発見にもつながります。
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